私の両親は2人とも再婚だ。長兄だけが父の連れ子で、それ以外のきょうだいは今の両親の子だ。全部合わせると兄が2人に姉が1人、妹が1人の5人きょうだいになる。
父は土建屋の仕事をしていたが、収入が少なかったので、私の家は生活保護を受けていた。父は酒乱で、一升瓶を何本も空けて酔っぱらうと母に暴力を振るう。子供たちが父から母を守ろうとすると、父は「なんだお前らは!」と叫び子供たちに向かって手を上げる。それを見た母が子供たちをかばって父に殴られた。
そんな母も酒が好きで、飲むとずっと愚痴を言っていた。
「娘を育てたって、大人になって結婚したら、よその男に取られちまう。兄が結婚したら嫁に取られる。必死に生きて子育てしたって、どうせよその人間になっちまう」
父はいつも家におらず、たまにいるかと思えば、酒を飲み暴力が始まる。しかし、酒を飲んでいないときの父は優しく、一緒に銭湯に行ったり、お正月に家族みんなでおせちを食べたのは楽しかった。
父の連れ子の長兄は私よりずっと年上だったので、私が小学生の時に結婚して家を出た。私が中学校に入学すると、次男の兄は高校に入学した。兄は高校生活が始まるとすぐに、大学の奨学金を申請するために書類を集めはじめた。生活保護費から大学へ進学する資金は下りず、さらにその際には世帯分離が義務付けられている。
私が中学1年生の時、父が浮気相手と一緒にいなくなった。本当に突然出て行ったので、最初は何が起こったのか分からなかった。
父の行方が分からなくなってから、母は「この浮気のカタをつけたい」と言って、いろんなところに相談して、忙しそうにしていた。夫との話し合いの場を設けるため、離婚調停を申し立てたが不成立となった。母は父不在での離婚を成立させるため、離婚裁判を起こした。

1977年生まれ。茨城県出身。短大を卒業後、エロ漫画雑誌の編集に携わるも自殺を図り退職。
その後、精神障害者手帳を取得。その後、生活保護を受給し、その経験を『この地獄を生きるのだ』(イースト・プレス2017)にて出版。各メディアで話題になる。
その後の作品には『生きながら十代に葬られ』(イースト・プレス2019)、『わたしはなにも悪くない』(晶文社2019)、『家族、捨ててもいいですか?』(大和書房2020)、『私がフェミニズムを知らなかった頃』(晶文社2021)、『私たち、まだ人生を1回も生き切っていないのに』(幻冬舎2021)、『怒りに火をつけろ』(ことさら出版2026)がある。
→エッセイ 地獄とのつきあい方
各エッセイは筆者個人の意見であり、REDDYの見解とは必ずしも一致しません