僕は北国の生まれだ。家族は父と母、きょうだいは1番上が兄。その下には姉が2人いる。兄より先に女の子が生まれていたが、火事で亡くなったそうだ。
僕が4歳の時、母が結核で亡くなった。その1年後、母の後を追うように父も結核でこの世を去る。両親を失った僕たちきょうだいは誰に助けを求めたらいいか分からず、手探りで子供だけの生活を始めたが、家賃などの支払いが滞納し、しばらくすると、電気とガスと水道が止まった。
働ける年齢になっていた兄はさっさと家を出て行った。2人の姉は時々、中学校へ行き給食を食べ、夜は友達の家にお邪魔してご飯をご馳走してもらっていた。まだ、5歳の僕は学校へ行って給食を食べることができない。姉たちが時々、パンを持ってきてくれたが、空腹に耐えられない時は、家の中にあった生の米に味噌をつけて食べていた。
この窮状を見かねて近所の人がラーメンやおにぎりなどを持ってきてくれたが、毎日というわけにはいかない。ほとんどの日を、明かりのない家の中で、飢えと寒さに耐えながら過ごした。
この生活は2年間続いた。終わりを告げたのは、1人の女性の来訪だった。
1977年生まれ。茨城県出身。短大を卒業後、エロ漫画雑誌の編集に携わるも自殺を図り退職。
その後、精神障害者手帳を取得。その後、生活保護を受給し、その経験を『この地獄を生きるのだ』(イースト・プレス2017)にて出版。各メディアで話題になる。
その後の作品には『生きながら十代に葬られ』(イースト・プレス2019)、『わたしはなにも悪くない』(晶文社2019)、『家族、捨ててもいいですか?』(大和書房2020)、『私がフェミニズムを知らなかった頃』(晶文社2021)『私たち、まだ人生を1回も生き切っていないのに』(幻冬舎2021)がある。
→エッセイ 地獄とのつきあい方
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