REDDY 多様性の経済学 Research on Economy, Disability and DiversitY

災害が発生、そのとき障害者は

2021年12月28日

2021年5月、災害対策基本法が改正されました

丹羽太一

2021ねん5がつ災害さいがいにそなえるための 法律 ほうりつがかわりました

個別避難計画こべつひなんけいかくをつくろう

災害さいがいにそなえて、 法律 ほうりつがかわったのでつくりやすくなった個別避難計画こべつひなんけいかくをつくることをおすすめします。

個別避難計画こべつひなんけいかくをつくると、障害しょうがいがあっても支援しえんをうけながら避難ひなんがしやすくなります。うごけないときでもたすけにきてくれるひとがいて、いのちたすかる可能性かのうせいがたかくなります。
個別避難計画こべつひなんけいかくは、まちむら役所やくしょのひと、あるいはふだん福祉ふくしのことを相談そうだんしているひとといっしょにつくることができます。
個別避難計画こべつひなんけいかくには、避難ひなんするのに支援しえん必要ひつようなひとの「なまえ」「生年月日せいねんがっぴ」「性別せいべつ」「住所じゅうしょ」「 電話番号でんわばんごう」「支援しえん必要ひつよう理由りゆう」と、支援しえんしてくれるひとの「なまえ」「住所じゅうしょ電話番号でんわばんごう」と、「避難場所ひなんばしょ避難経路ひなんけいろについて」を記入きにゅうします。
災害さいがいがおきたときはここにかかれた情報じょうほうをもとに、支援しえん必要ひつようなひととそのひとたちを支援しえんするひとが、いっしょに避難ひなんすることになります。

個別避難計画こべつひなんけいかくとは
個別避難計画こべつひなんけいかく(※1)は、もし避難ひなんするのにたすけが必要ひつようなら、だれにおねがいするのがいいのか、どういう方法ほうほうで、どういうみちで、どこへ避難ひなんするか、もし避難所ひなんじょ必要ひつようなものがあったり、生活せいかつ支援しえん必要ひつようなら、どのように準備じゅんびしておくのがよいか、あらかじめかんがえておくことです。 
地震じしん 洪水 こうずいがきたときにどうやって避難ひなんするか、また避難ひなんしたところでどうすればよいか、あらかじめかんがえてきめておくことは、いざというときに安全あんぜん避難ひなんするためにたいせつです。
地震じしん 洪水 こうずいがきたときに「たすけにきてくれるひと 一緒 いっしょ避難ひなんするときにをつけてほしいこと、、 一緒 いっしょ避難ひなんする方法ほうほう避難ひなんする場所ばしょ、どこをとおって避難ひなんするか、など」をかいておきます(※2)。

※1「避難行動要支援者ごとに、避難支援を行う者や避難先等の情報を記載した計画」
※2「発災時に避難支援を行う者、避難支援を行うに当たっての留意点、避難支援の方法や避難場所、避難経路、本人が不在で連絡が取れない時の対応等」

避難行動要支援者ひなんこうどうようしえんしゃ
避難ひなんするのに支援しえん必要ひつようなひとを避難行動要支援者ひなんこうどうようしえんしゃといいます。「ひとりで避難ひなんするのがむずかしいためにたすけが必要ひつようなひと」です。
情報じょうほうがわからない視聴覚しちょうかく障害しょうがいのあるひとや日本語にほんごのわからない外国人がいこくじんなど、知的障害ちてきしょうがいのあるひと、移動いどうなどにたすけが必要ひつようなひと、避難所ひなんじょなどでの生活せいかつ配慮はいりょ必要ひつよう 病気 びょうきのあるひと、妊産婦にんさんぷなど」です。

避難ひなんするのに支援しえん必要ひつようなとき、実際じっさい支援しえんしてくれるひとを避難支援等実施者ひなんしえんとうじっししゃといいます。
個別避難計画こべつひなんけいかくには、避難ひなんするのに支援しえん必要ひつようなひとの「なまえ」「生年月日せいねんがっぴ」「性別せいべつ」「住所じゅうしょ」「 電話番号でんわばんごう」「支援しえん必要ひつよう理由りゆう」と、支援しえんしてくれるひとの「なまえ」「住所じゅうしょ電話番号でんわばんごう」と、「避難場所ひなんばしょ避難経路ひなんけいろについて」を記入きにゅうします。
災害さいがいがおきたときはここにかかれた情報じょうほうをもとに、支援しえん必要ひつようなひととそのひとたちを支援しえんするひとが、いっしょに避難ひなんすることになります。
そのためには、支援しえん必要ひつようなひととそのひとたちを支援しえんするひとがまえもってはなしあって、個別避難計画こべつひなんけいかくをつくっておかなくてはなりません。

避難ひなん支援しえんしてくれるひとをきめる
個別避難計画こべつひなんけいかくは、まちむら役所やくしょのひとに相談そうだんしてつくることができます。あるいはふだん福祉ふくしのことを相談そうだんしているひと(※3)も協力きょうりょくしてくれます。とくに支援専門員しえんせんもんいんといわれるひと(※4)は、ケアプランをつくるのであなたのことをよくしっていて、たよりになるでしょう。まずは支援専門員しえんせんもんいん相談そうだんし、近所きんじょのひとやりあいや友達ともだちともつながることで、災害さいがいのときにたすけてくれるように準備じゅんびしておきましょう。

※3「介護支援専門員や相談支援専門員などの福祉専門職、民生委員、町内会・自治会等、自主防災組織、地域医師会、居宅介護支援事業者や相談支援事業者などの福祉事業者、社会福祉協議会などの地域の医療・看護・介護・福祉などに関する職種団体、地域で活動する障害者団体や難病・小児慢性特定疾病患者団体、地域福祉コーディネーター・専門機関・社会福祉協議会が主導する住民による地域の支え合いのネットワーク等(個別避難計画作成等関係者)」
※4 特に介護支援専門員や相談支援専門員については、「日頃からケアプラン等の作成を通じて、避難行動要支援者本人の状況等をよく把握しており、信頼関係も期待できる」こと、個別避難計画は「ケアプラン作成等に合わせて行うことが効果的である」こと、「災害時のケア継続にも役立つ」ことなどから、個別避難計画作成にはこうした支援専門員の「参画を得ることが極めて重要」とされています。福祉専門職の参画は重要なポイントになります。

在宅 ざいたくのサービスを 利用 りようしているばあいは、いつもきているヘルパーやサービス提供責任者ていきょうせきにんしゃなどと相談そうだんをしてみるとよいでしょう(※5)。
かおなじみの 近所 きんじょのひととはなしあいをして避難ひなん支援しえんをしてもらうことは、よりたしかな避難ひなんにつながります。近所きんじょのひとと直接ちょくせつはなしをして個別避難計画こべつひなんけいかくをつくることで、具体的ぐたいてき安否あんぴ確認かくにん避難ひなん支援しえんまでをきめておけばさらに心強こころづよいでしょう。

※5 東日本大震災のときは、介護福祉事業所、障害福祉サービス事業所が利用者の安否確認、早急な安全な避難などを独自に行って、実際に成果を上げています。(鍵屋一「福祉事業者と連携した災害時要援護者支援方策の考察」2013年度日本災害情報学会予稿集、p.364-367、2013.10)

福祉ふくしサービス事業所じぎょうしょ役割やくわり
介護施設かいごしせつ事業所じぎょうしょ障害福祉しょうがいふくしサービス事業所じぎょうしょは、避難ひなんだけでなく、災害さいがいのときにもサービスがつづけられるようにして、避難生活ひなんせいかつにおいても必要ひつよう日常生活にちじょうせいかつ支援しえんができるように準備じゅんびします(※6)。

※6 従来の防災計画に加え、利用者の安全を確保し、サービスを継続するために事前の準備をを進めると同時に、職員の安全確保や被災時の地域への貢献を「総合的に」考え、その中で、高齢者等避難レベルで高齢者、障害者が避難所へ避難することになった場合、そこでの福祉支援の体制をどう整備するか、福祉サービスをどう継続するかを介護施設・事業所、障害福祉サービス事業所は予め計画しておくことになります。施設においては、避難場所、避難方法やサービス利用者の安否確認方法などを検討し、ライフライン、トイレ、備蓄の整備状況などを確認しておきます。事業継続のためにはサービスを提供する職員の自助も必要です。安否確認方法、参集基準、各種連絡先等を明確にし、職員の被災状況や業務負担にも配慮するようにします。災害時の業務の優先順位、職員参集、応援の確保の方法と、地域全体への貢献や福祉避難所の運営への関わり方などの項目についても検討します。これによって、障害者が避難生活においても必要な日常生活の支援まで受けられるようにします。
施設が福祉避難所の指定を受けた場合は、福祉避難所として運営できるように事前に必要な物資の確保や施設整備などを進め、障害者を受け入れる体制を整えるようにします。
訪問サービス提供者の場合、避難先においてサービスを提供することも想定されます。地域の避難方法や避難所に関しても知っておく必要があります。
介護施設・事業所における自然災害発生時の業務継続ガイドライン」厚生労働省老健局 令和 2 年 12 月
障害福祉サービス事業所等における自然災害発生時の業務継続ガイドライン」厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部 令和 3 年 3 月

ふつうの避難所ひなんじょでの生活障害しょうがいによってさまざまな困難こんなんがあります。障害者しょうがいしゃにとっては福祉避難所ふくしひなんじょ必要ひつようになります。
災害さいがいがおきたときや高齢者等避難こうれいしゃとうひなんがよびかけられたときには、指定福祉避難所していふくしひなじょ開設かいせつされます。(※7)

※7「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」平成28年4月(令和3年5月改定)内閣府(防災担当)

福祉避難所ふくしひなんじょへの直接ちょくせつ避難ひなん
災害さいがいがおきたり、おきることが予想よそうされるときははやめに福祉避難所ふくしひなんじょ避難ひなんするるようにしましょう。どこへ避難ひなんすればよいかはあらかじめきめることができます。個別避難計画こべつひなんけいかくをつくるときに、どこへ避難ひなんするのがよいかもはなしあって、避難ひなんするときは、安全あんぜんたしかめて福祉避難所ふくしひなんじょなどへの直接ちょくせつ避難ひなんをします。

人工呼吸器じんこうこきゅうきやほかの医療機器いりょうききをつかっているひとは、非常用電源ひじょうようでんげんのある避難場所ひなんばしょさがしておいたり、お医者いしゃさんやメーカーとはなしをして電源そなえておきましょう。

個別避難計画こべつひなんけいかくをつくろう
個別避難計画こべつひなんけいかくにかいてある情報じょうほう支援しえん必要ひつようなひととそのひとたちを支援しえんするひとに秘密ひみつでほかのひとにおしえることはできません。ただし災害さいがいからまもるために必要ひつようがあるときは、支援しえん必要ひつようなひとをたすけるための情報じょうほうはひとにおしえることがあります。
そのときも、ほかのひとにはしられたくない情報じょうほうはほかのひとにひろまらないことや、こまったことがおこらないようにつとめなくてはなりません。
また、情報じょうほうをしっているひとは支援しえん必要ひつようなひとをたすけるためでなければ、ひとにその情報じょうほうおしえてはいけないとされています。

これらのことをふまえ、災害さいがいのときの避難ひなん避難生活ひなんせいかつ不安ふあんかんじている障害者しょうがいしゃのかたは、まず身近みぢかなひととはなしをして、そして自分じぶん市町村しちょうそん役所やくしょ担当たんとうのひとにいあわせて個別避難計画こべつひなんけいかくをつくってみてください。

個別避難計画の作成

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避難行動要支援者ひなんこうどうようしえんしゃ避難ひなん個別避難計画こべつひなんけいかく作成さくせいについて、ご意見いけんやご質問しつもん地域ちいき情報じょうほうなどがあればフォームより送信そうしんください。